一流の採用担当者は『笑顔』を見ない。二流は『共通点』で盛り上がる。

From:福村崇哲 東京のオフィスより、、、

先日、別の会社で採用担当をしている友人と、久々に品川で飲んでいた時のことです。

彼はビールを片手に、少し得意げな顔でこう言いました。 「今日の面接は完璧だったよ。候補者の緊張をほぐすために、共通の趣味のサウナの話で15分も盛り上がっちゃってさ。一気に距離が縮まったよ。あんなにラポールが築けたのは初めてだ。即決で内定出すつもりだよ」

僕はグラスを置いて、彼を真っ直ぐに見つめて言いました。

「悪いけど、その採用、たぶん失敗するよ」

彼は、せっかくのビールが不味くなったと言わんばかりの顔をしていました。 無理もありません。世の中の採用マニュアルには、必ずこう書いてあるからです。

「まずはアイスブレイクをして、ラポール(信頼関係)を築け」と。

しかし、断言します。 採用現場における「ラポール形成」の常識は、9割の担当者が陥っている致命的な罠です。


仲良くなることが「採用」ではない

多くの採用担当者が勘違いしているのは、「ラポール=仲良くなること」だという点です。

  • 出身地が同じで親近感が湧く
  • 趣味の話で意気投合する
  • 雰囲気が自分と似ている

こんなことで盛り上がって「自分と波長が合うから」という理由で高評価をつける。 これを心理学では「類似性バイアス」と呼びますが、採用のプロとしては**「素人」**の仕事です。

面接の目的は、友達を作ることではありません。 会社というチームに利益をもたらし、現場の課題を解決できる「戦力」を確保することです。

趣味の話で盛り上がっている間、あなたは相手の「能力」ではなく、相手の「愛想の良さ」に給料を払う決断をしているだけなのです。


真のラポールを築くための3つのステップ

では、プロの採用担当者が築くべき「信頼関係」とは何か? それは、お互いがプロフェッショナルとして、会社のミッションに対して「何ができるか」をシビアに共有できるかどうかです。

本物のラポールを築き、優秀な人材を見抜くためのステップは以下の通りです。

  1. 「共通点」ではなく「共通のゴール」を語る サウナやゴルフの話で時間を溶かすのはやめなさい。それよりも「このポジションで半年以内に達成すべき成果」を提示し、それに対して相手がどう貢献できるかを議論する。
  2. あえて「居心地の悪い問い」を投げかける 表面的な笑顔の裏側にある本質を見るために、過去の失敗事例や、逃げ出したくなるような困難にどう対処したかを深掘りしなさい。心地よい会話の中からは、本性は見えてきません。
  3. 「評価者」ではなく「目利き」として接する 上から目線で合否を決めるのではなく、「君のスキルは、今のうちの組織にどうフィットし、どう化学反応を起こすか?」という、戦略的な対話を持ちかける。これがプロ同士の真の信頼を生みます。

馴れ合いは組織を腐らせる

「いい人」を採用して、チームのパフォーマンスが下がった例を僕はいくつも見てきました。 面接でラポールを築きすぎて、相手のスキル不足に目をつぶってしまうのは、採用担当者としての職務放棄です。

あなたは、社内イベントで一緒に盛り上がる「サークル仲間」を探しているのですか? それとも、泥臭い仕事も厭わず、結果を出してくれる「プロ」を探しているのですか?

もし後者なら、今すぐ「仲良くなるための面接」を捨てなさい。 真のラポールは、お互いの実力を認め合った先にしか存在しないのだから。

PS 面接の1時間で相手のすべてを見抜くのは至難の業です。 だからこそ、最初の5分で「気が合う」と感じた時ほど、自分を疑ってください。 その心地よさは、優秀な候補者による「計算された演出」かもしれませんよ。

次は、候補者の「演出」を剥がして、素の能力をさらけ出させる「圧迫ではない鋭い質問術」についてお話ししましょうか?

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